ウディネーゼを倒してリーグ8連勝を達成したローマは、4位のフィオレンティーナとインテルに勝ち点5差を付けた。次節インテルとの直接対決に勝利すれば、3位確保に向けて大きなアドバンテージを手にすることができる。一方のウディネーゼは明らかに迷走している。成績不振に不満を募らせたファンたちは、前半15分まで観戦をボイコットした。
先日のレアル・マドリー戦に続いて、ジェコを1トップに置く4-2-3-1を敷いたスパレッティ監督に対して、コラントゥオーノ監督は守備を強く意識した4-1-4-1を選択。それでもウディネーゼの中盤には組織の欠片も見られず、前半15分にジェコが先制点を挙げる前に2度の決定機を作られていた。前半の45分間はまったく抵抗できなかったと言っていい。
簡単すぎる試合
この相手を制圧するのに100%のリズムは必要ない。ローマから感じられる余裕は、逆にウディネーゼにプラスの要素をもたらした。攻撃を繰り出す度に決定機が生まれることで、ローマの選手たちから緊張感が失われていく。チャンスを作り出しても相手ゴール前で適切な判断を下すことができず、サラーやエル・シャーラウィが決定機を外し続けた。
ウディネーゼにとっては失望の前半でしかなかった。観客席には「もう沢山。次はお前たちの番だ」と脅迫まがいの横断幕が掲げられ、ゴール裏には一触即発の空気が満ちている。対策を迫られたコラントゥオーノ監督は、後半開始からサパタを投入。それまで1トップを務めていたテローを左に出して、ブルーノ・フェルナンデスを右サイドに回した。
サパタ投入で流れが変わる
4-1-2-3へのシステム変更はウディネーゼを著しく復活させた。後半開始直後にブルーノ・フェルナンデスが際どいシュートを放ち、直後のCKではサパタがポスト直撃のヘッド。無抵抗の前半とは違い、後半20分まではウディネーゼのペースだ。スパレッティ監督はピアニッチを入れて中盤の枚数を増やし、パス回しのクオリティを上げて状況を改善する。
ピアニッチ投入の恩恵を受けたのはフロレンツィである。エリア内でピアニッチからの浮き球を受けると、美しいワンタッチでマークを外してゴール隅に流し込んだ。技術と創造性が生んだ難易度の高いゴールではあるが、フェリペとダニーロ、両センターバックの連携ミスを指摘しないわけにはいかない。ジェコの先制点も2人の緩慢な守備が発端だ。
怒りのウディネファン
ローマの2点目はウディネーゼに大きなダメージを与えた。追加点こそ与えていないが、後半開始から見せていた活力が急速に失われていく。一方のローマも前半と同じミスを繰り返す。決定機を作りながらもゴール前でのしたたかさが足りない。GKと1対1になりながらもジェコへのパスを選択したピアニッチの判断も、数あるミスのひとつでしかない。
コラントゥオーノ監督は残り15分でマトスを投入して反撃を試みる。ブルーノ・フェルナンデスが試合終盤に1点を返したものの、同点に追いつくだけのエネルギーは残っていなかった。リーグ8連勝を達成したローマに対して、ウディネーゼは直近の11試合で7敗目。醜態を晒し続けるチームを前に、怒り狂ったファンたちは試合後に罵声を浴びせていた。