今季開幕から悲惨なクラブ状況を目の当たりにしてきたパルマのファンにとって、会心の勝利となった先週土曜日のユーベ戦はヨーロッパリーグ出場を決めた昨季以来の大きな喜びとなった。現在パルマの下部組織で監督を務める、エルナン・クレスポにクラブの現状を聞く。
―クレスポ、ユベントス戦で決勝点を決めたマウリは今季開幕からトップチームに帯同しています。
本来ならあと1年、下部組織でプレーする年齢ですが開幕前にクラブ全体の意向としてトップチーム昇格を決めました。シーズンが始まってからドナドーニ監督から出番を与えられています。
トップチームでのプレーによって生じる精神的重圧や、クラブの経済危機といった要素に影響されることなく実力を発揮している。実に見事です。マウリと話す機会も多いですが、「重要なのは試合に出ること」と何度も言っていました。土曜日のゴールは多くの人に強い印象を与えたはずです。
―現在クラブの運営を支えている管財人やアルベルティーニも、選手たちに全力を尽くすよう指示しています。アマチュア行きを回避してセリエBに所属するためには新たなオーナーを見つけなければなりませんが、ピッチでの努力がクラブ買収を検討している人たちに対する良いアピールになると。
素晴らしい結果を残していると思います。5月の競売でどんな結末を迎えるのか、本当にセリエBを戦うだけの資金を用意できるかは私にも分かりません。しかし、私たちが生き残るには新しいオーナーを見つける以外に方法がないのは事実です。この問題をクリアできれば、今後は大きな戦力として私たち下部組織が注目されることになるでしょう。
―ユベントスが敗れた原因はチャンピオンズリーグに集中していたから?
私には答えようがありませんが、ここまでの戦績を振り返ってみると、パルマが手にした少ない勝ち点はビッグクラブから奪ったものです。ローマに引き分け、インテルには1勝1分け。ユベントスとフィオレンティーナも1度倒しています。
戦力的にこちらが上回っているクラブ相手だと苦戦するのに、カウンターが有効に使えるビッグクラブとの対戦では比較的スムーズに戦える。インテルやユベントスとの試合になるとプレッシャーや責任を必要以上に感じなくて済むという点も大きい。
―直近の3試合で勝ち点7。どういった評価を下すべきでしょう?
新加入選手の活躍もありますが、それだけの実力を秘めたチームだったのです。次々に降りかかる厄介事に振り回されて、シーズン前半戦は本来の実力を発揮できなかった。経営問題がなければ残留争いをすることなく、序盤戦で出場機会に恵まれなかった選手たちに出番を与えながらシーズンを戦うことも可能だったでしょう。
―退団を決意したカッサーノについては?
彼にしかできない行動だったと思います。カッサーノに続いて契約を解除した選手は数人いますが、あれだけの影響力を持つ人物は他にいません。パルマの悲惨な状況を世に知らしめたのはカッサーノの決断だったのです。