「関心を持ってくれたことには感謝している。まだコメントを残す段階ではないが、パルマ買収を検討しているのは事実だ」
クラブ存続が懸かる来週9日の競売を前に、パルマの地元紙「ガゼッタ・ディ・パルマ」の取材に対して、元プロ野球選手であるマイク・ピアッツァ氏は完璧なイタリア語でパルマ買収に乗り出していることを認めた。
ピアッツァ氏は、かつてメジャーリーグのドジャースやメッツで活躍したイタリア系アメリカ人。現役時代は高額年俸選手として知られ、生涯年俸は1億6000万ドルを超える。パルマを買収するだけの資金力を持つ人物であるのは間違いない。かねてからイタリアサッカー界に興味を持っており、今回の買収を機に本格的なビジネス参入を計画している。
仲介役となったのは旧知の友人であるジルベルト・ジェラーリ氏だ。パルマの野球クラブ「パルマ・エンジェルス」の監督で、ピアッツァ氏とは共にイタリア代表チームのコーチだった間柄。ジェラーリ氏からパルマの情報を入手していたピアッツァ氏は先週、極秘でクラブ事務所を訪れて債務処理を担当する管財人と会談している。
先週日曜日にはジェノバを訪れ、サンプドリア対パルマの試合を実際にスタジアムで観戦している。人目を避けるためVIP席には行かず、チケットを購入して一般客と同じスタンドで試合を見守った。
パルマ買収を検討しているのはピアッツァ氏だけではない。イタリア国内でシネコンを展開している「The Space Cinema」の会長ジュゼッペ・コッラード氏も来週の競売に参加する可能性が高い。5月に予定されていた5度の競売で入札なしに終わったものの、管財人たちが「売却候補は9件ある」と楽観的な見方をしていた理由はここにある。