スコアレスドローに終わった半年前のミラン戦で、ジェルビーニョはファンからの批判を浴びずに済んだ数少ない選手である。得点こそ奪えなかったものの、果敢なドリブル突破でチャンスを演出する姿にロマニスタは喝采を浴びせた。ジェルビーニョ売却の話など持ち出せば、「何を馬鹿なことを」と一蹴されてしまう雰囲気すらあった。
あれから半年後の今現在、ジェルビーニョの売却話がクラブ内部で進行している。かつてローマでも活躍したヴチニッチが所属する、UAEのアルジャジーラ・クラブから破格のオファーが届いた。移籍金1500万ユーロ、年俸700万〜800万ユーロという提示条件は、クラブと選手の双方にとって極めて魅力的な数字だと言えよう。
ジェルビーニョ放出を推し進める空気は、シーズン終盤に差し掛かった頃からクラブ内に漂っていた。アフリカネイションズカップから帰還したものの、一向にパフォーマンスの上がらないジェルビーニョに対して、サバティーニSDは「練習や試合にもっと集中するように」と命じたものの、かつての姿を取り戻せないままシーズン終了を迎えた。
リーグ・アン時代からの理解者であり、決定力不足を指摘する声に「ローマの得点の75%はジェルビーニョから生まれている」と反論すらしていたガルシア監督も、リーグ2得点という成績に納得しているとは思えない。代表チームからの合流が遅れた(家庭の事情、書類の都合…)ことも含めて、成績以上に素行的な問題でクラブ側の印象も悪い。
コンディション不良にもかかわらず、ジェルビーニョを軸に攻撃を組み立てようとする戦術に数人のチームメイトから不満が出ていたのも事実だ。ジェルビーニョを売却すれば1500万ユーロの移籍金に加えて、今後3年間で負担することになる年俸(総額1500万ユーロ・税込み)を節約できる。FFPの観点から考えても、この売却話は無視できない。
ローマは代役候補としてドニプロのコノプリャンカ、チェルシーのクアドラードの調査を開始。クアドラードの代理人を務めるルッチ氏はイタリア復帰に向けて、チェルシーからの期限付き移籍を画策しているが、インテルも獲得に乗り出している。3ヶ月前から確保していたマルセイユのアユーだが、以前ほど獲得を優先する存在ではなくなった。