イタリアの高速鉄道で旅行中、車内にカバンや携帯電話などの忘れ物をしても、すぐに気が付けば取り戻せる可能性が高い。だが忘れ物に気が付く前に、電車が終着駅に着いてしまえば望み薄だ。イタリアの鉄道会社「トレニタリア」は数年前に駅構内の遺失物預かり所を閉鎖しており、乗客の忘れ物を管理していない。
それでも「フレッチャロッサ」などの高速鉄道では対策もされている。トリノやミラノ、ローマといった主要駅にある「フレッチャデスク」に申告すれば、スタッフが係員に連絡して車内を点検してくれる。忘れ物が見つかれば返還されるが、届け出るのが遅かったり、複数の州を通過していたりすれば、見つかる可能性は低くなる。
電車が終点に着いた時点で、発見された忘れ物は行政が管理する「紛失物管理センター」にまとめて引き渡される。ベローナのオフィス担当者によれば「所有者が明らかな場合は連絡することもできるが、それ以外はどうにもならない」という。
どの街でも状況は同じようなものだが、ミラノ中央駅には行政が管理する保管所があるため、比較的見つかりやすい。ヨーロッパの主要駅には大抵設置されているはずの遺失物取り扱い所だが、ローマのテルミニ駅にはそのカウンターさえ存在せず、毎年多くの忘れ物が戻ってこないという状況が続いている。
トレニタリアの報告では、2015年1月〜5月までに高速鉄道で見つかった忘れ物のうち、3225件が持ち主に返還された。これは申告数の92%近い数字だが、在来線で忘れ物をした場合は期待しない方がいい。