イギリスの経済誌エコノミストは2000年に「絶望的なアフリカ」という見出しを表紙に記した。その4年後、同誌でアフリカ部門の編集長を務めていたロバート・ゲストは、「The shackled continent (邦訳:アフリカ 苦悩する大陸)」という本を出版し、その中で「アフリカの未来は明るくない」と書いている。
確かにアフリカの経済は、80年代から90年代にかけて大きく低迷していた。世界銀行のデータによれば、1980年から2000年のサブサハラアフリカ(サハラ砂漠より南の地域)の国内総生産は1%ずつ低下している。
だが2000年を境にアフリカの経済は大きな発展を遂げた。国内総生産は2%の成長率を見せ、少なくとも世界銀行のデータでは貧困率も低下した。かつて「絶望的」と記したエコノミスト誌は2011年に「上昇するアフリカ」と見出しを付けて、「アフリカの未来は希望に満ちている」という記事を掲載した。
アフリカ経済の発展を促したのは外的要因が大部分を占める。たとえば中国の経済成長と原材料の価格高騰だ。これまでに莫大な投資をしてきた中国経済が円熟期を迎えて、成長の度合いが緩やかになれば、その結果としてアフリカ経済にも影響が出るとされる。
もちろんアフリカ内部の変化にも理由がある。農業の分野では価格の歪みが軽減され、アフリカの多くの国でインフレ率が低下し、安定を取り戻した。以前に比べて民主主義や公平な選挙という考え方が広く浸透したことで、政府のあり方も改善されている。