ピッチに背を向けながら両手を広げ、不満そうにベンチに戻っていく。インテル相手に19本ものシュートを浴びせながら完封負けを喫した原因を分析するのは、ガルシア監督といえども骨の折れる仕事だろう。前半から試合を優勢に進めていたものの、訪れた決定機はすべてハンダノビッチに防がれ、メデルが放った一発のミドルシュートに沈んだ。
「こういった結果に繋がるような試合内容ではなかった。それでも敗戦の原因は自分たちにある。この試合を解説するなら、ハンダノビッチがあまりにも素晴らしかった。この一言に尽きる。データを見れば、私たちが酷い試合をしたわけではないと分かってもらえるはず。最高のパフォーマンスとは言えないが、相応のレベルにはあったと思う。
残念ながら相手ゴール前での狡猾さが足らなかった。フィニッシュに至るまでの動きは完璧だったのに。それでもこのプレーを続けられれば、今後も勝ち点を積んでいける。インテルが完全にスペースを潰した状態にありながら、私たちは10人になってからも同点のチャンスを作れていた。守備に関しても大崩れせず、全体的によく守ることができた」
負傷デ・ロッシを温存
これまでの試合より多くのチャンスを作ったのは事実だが、敗戦を喫したのも事実である。「相手が遠目から狙ってくることも予測済みだった」と語るガルシア監督だが、さすがにメデルのシュートまでは予想外だったのかもしれない。ローマの選手たちはメデルをまったく警戒していなかった。デ・ロッシがいたら、失点を回避できたのだろうか?
「筋肉に問題を抱えており、この試合で起用するにはリスクが大きすぎた。水曜日のレバークーゼン戦には復帰できる。シュチェスニーにしても別の対応ができたはず。決してニースケンスが打つようなシュートではなかった。日々成長しているのは知っているが、私が期待するレベルの活躍をするには、彼にも多少の狡猾さが足りない」
ピアニッチ不在のダービー
途中交代したフロレンツィからキャプテンマークを受け継いだピアニッチだが、2度の警告で退場処分となった。数的不利を招いた軽率な行動は理解できない。「1枚目は相手のハンドに対する抗議によるものだった。特に重要なシーンでもなかったし、無駄なカードだった。勝ちたいという気持ちが強すぎると、ああいったミスを犯すものだ」
次節はラツィオとのダービーだというのに、ピアニッチ不在となったことでガルシア監督は再び中盤の構成を考え直すことになる。さらにジェコの不振も悩みの種だ。この試合でも再三チャンスはあったものの、結局ノーゴールに終わった。怪我による欠場もあったが、第2節ユベントス戦で挙げた1ゴールを最後に、足踏み状態が続いている。
「動き出しの質が戻るまで、もう少し時間がかかる。状態が良くなれば彼の才能も活きてくる。チャンスで決めてくれれば、試合の展開も変わっていただろうが…。水曜日にも重要な試合が控えているので、交代は当初からの予定だった。数的不利となったことで、ナインゴランひとりに中盤をカバーさせるわけにはいかなかった、という理由もある」