リーグ11連勝。もはやユベントスを単なるクラブと定義するべきではない。目の前に立ち塞がる相手を踏み潰しながら突き進んでいくロードローラーである。今回犠牲となったのはローマだ。スパレッティは守備的な布陣を組んだものの、あまりにも守備的過ぎた。90分を通してブッフォンを慌てさせる場面を作れないまま、ディバラの一撃に沈んだ。
スパレッティが引き継いだチームは自信を失っている。試合開始直後のプレーを見るだけでも、それは明らかだった。酷く衰弱したローマは傷口を広げないよう守備的に戦うことを余儀なくされ、そうした判断からセンターバック3人を配置して5バックを形成。ジェコを除く全員がボールラインより後ろでプレーすることになった。
人数をかけてスペースを潰す戦い方を続けるローマに対して、ユベントスはボールを支配していたが攻撃のリズムが上がらない。前半45分間で訪れた決定機といえばエリア内からエブラが放ったシュート1本のみで、そのチャンスもゴールに結びつかなかった。
マルキージオを自由に
だがスパレッティが築き上げた堤防には1つだけ重大な欠陥が見受けられた。特に前半30分までの時間帯はマルキージオを完全にフリーにしている。スパレッティ監督は、厳しいプレスを繰り返せるナインゴランを中盤の底ではなくトップ下に配置して、相手の攻撃の起点となる選手にプレスをかける役割を課している。
だがこの日のナインゴランはプレスよりも中盤を組み立てる仕事を意識しており、そのためマルキージオに一切のプレッシャーがかからなかった。ケディラとエブラのラストパスがもう少し正確であれば、ユベントスはこのギャップを有効に活用できただろう。
守備的に振る舞うローマで目立った活躍をしていたのはデ・ロッシだ。カバーリングと縦パスのセンスを兼ね備えたデ・ロッシを、スパレッティ監督は最終ラインの中央に配置して守備を安定させた。だがマンジュキッチの足首を踏みつけた行為は警告で済まされるプレーとは違う。リュディガーに肘打ちを見舞ったマンジュキッチの行為も同様だ。
フロレンツィの攻撃参加が失点に
後半に入ってからも試合展開は変わらない。ローマは守備を崩さず耐え続け、ユベントスはペースの上がらない攻撃を繰り返すばかり。アッレグリ監督はクアドラードを投入してサイドの攻撃力を高める。エブラのシュートはシュチェスニーに弾かれたものの、この決定機を作り出したのがクアドラードだったことを考えれば、交代策は当たりだった。
ユベントスの決勝点は、ローマが最初にバランスを崩した場面で生まれた。攻撃参加したフロレンツィがエブラにボールを奪われるとユーベがカウンターで反撃。ポグバがフロレンツィの背後にできたスペースに侵入して、前線のディバラにラストパスを送る。ディバラのシュートは、リュディガーとシュチェスニーの間を抜けてゴールネットを揺らした。
1点を追うスパレッティ監督はデ・ロッシを中盤に上げて、4バックに変更したが試合の大勢は変わらず。守備的な布陣で戦うと決めた以上、ユベントス相手に先制点を奪われてしまえば今のローマにその状況を覆す力はない。ベンチに下げたタイミングでフロレンツィに何か話しかけていたが、あれは失点の原因となった攻撃参加を咎めていたのだろう。