1stレグで背負った2点のビハインドを跳ね返すべく、ローマはアウエーの地で60分以上も抵抗を続けた。それでも結果的には2対0という第1戦と同じスコアでレアル・マドリーに敗れた。ローマは度々決定機を作りながらもゴールを奪えず、後半19分にクリスチャーノ・ロナウドが先制点を挙げた時点で、レアル・マドリーの勝ち抜けが事実上決まった。
ローマ攻撃陣が見せたゴール前での不正確なプレーとGKナバスの好セーブが、結果に大きく影響したと言っていい。ノーゴールに終わったものの試合内容自体は悲観すべきものではない。ボール支配率でも44%とわずかに下回るだけ。逆境に陥りながらも、サンチャゴ・ベルナベウという難しい場所で自信を失わずに戦うことができたのは評価できる。
ジェコの1トップを選択
国内リーグでは前線にターゲットを置かない布陣を敷いて好調を維持しているスパレッティ監督だが、この日はジェコの1トップを選択。2列目にサラー、ペロッティ、エル・シャーラウィを並べる攻撃的なシステムを組んだ。中盤の底に配置されたケイタとピアニッチには守備の仕事が課されたが、ペロッティが帰陣してサポートに回る場面が見られた。
レアル・マドリーの巧みなパス回しを分断し、カウンターを仕掛ける。序盤からローマの狙いは明らかだったが、何かが機能していなかったのも事実だ。マルセロの攻撃参加に対して、サラーが守備を怠る場面が目立ち、フロレンツィは困難に陥ることになった。ケイタも中盤を作るパス回しが少なく、ジェコへのロングボールに固執しているようだった。
決定機を外し続けるローマ
サラーから素晴らしいラストパスを受けたジェコだがシュートまでの動作が遅く、左足で放った一撃は枠を外れた。ここで先制点を奪えていれば試合展開は大きく変わっていただろう。チームのために献身的に働き、スペースを作る動きを見せたジェコだが、周囲が意図を理解できていない。ターゲットを置かない布陣の方が今のローマは機能するのだ。
ピアニッチが負傷したことでスパレッティ監督は後半からヴァンクールを投入したが、ボール回しのクオリティが大きく低下することになった。シュチェスニーの好セーブで失点こそ許さないものの、前半に続いてサラーのシュートは枠を外れ、フロレンツィとマノラスに訪れた決定機もナバスが素晴らしい反応を見せたことでローマは先制点を奪えない。
またしてもロナウド
ローマが得点を感じさせる時間帯でレアル・マドリーが先制点を奪う。決めたのは第1戦と同じ、クリスチャーノ・ロナウドである。右からのクロスに素早く反応してマノラスを振り切り、シュチェスニーの手前で合わせた。この1点を境にローマから活力が失われていく。スパレッティ監督はベンチに座り込み、ハメス・ロドリゲスの追加点が生まれた。
後半30分にはトッティが投入され、ベルナベウの観客から大きな拍手が送られた。試合終盤にはペロッティが右足で美しいボレーを放つが、ポストに弾かれてゴールならず。結果論でしかないが、第2戦を極度に難しい試合にした1stレグの敗戦が悔やまれる。来季再びCLの舞台に立つために、ここからローマはリーグ残り10試合に集中することになる。