今季開幕からベスト布陣を模索してきたローマのスパレッティ監督は、ようやく進むべき道を見つけたのかもしれない。夏の合宿では3バックの導入も示唆していたが、一時的に採用することはあっても本格導入は見送りに。カリアリ戦では4-3-3、サンプドリア戦では4-3-1-2を選択したが、どれもバランスの維持に苦しんでいた。
それだけに日曜日のインテル戦で見せた4-2-3-1は説得力のあるものだった。試合内容を考えると、この布陣を捨ててまで更なるテストを続けるとは思えない。
サイドバック問題
ローマが最終ラインの整備に苦しんでいたのは、新加入の左SBマリオ・ルイの長期離脱が大きな原因だ。代役としてエメルソン・パルミエリの起用に踏み切ったスパレッティ監督だが、成功には程遠い結果しか得られず断念。ブルーノ・ペレスを左サイドで起用することもあったが、もっとも安定しているのはフアン・ジェズスだった。
ブルーノ・ペレスにとっても、持ち味を存分に発揮できるのは右サイドだ。インテル戦ではペリシッチの突破に苦しむ場面もあったが、攻撃の局面ではジェコの先制点をアシストしている。元トリノ指揮官ベントゥーラから左サイドでの起用も提案されたスパレッティ監督だが、現状では緊急時の選択肢として考えるべきだろう。
攻撃のアイデア
フロレンツィのトップ下起用と並んで、インテル戦のサプライズとなったのはゴールまでの道筋だ。これまでショートパス主体のポゼッションサッカーを志向してきたスパレッティ監督がロングボールを導入している。強靭なフィジカルを誇るジェコのポストプレーと、サラーのスピードを組み合わせたカウンターで決定機を作り出した。
ジェコ個人の動き方にも変化が見られた。例えば先制点の場面。これまでクロスに対してファーサイドに動くことが多かったジェコが、ニアサイドに走り込んでいる。前線でラストパスを待ち続けるのではなく、中盤まで下がって組み立てに参加する場面も目立った。インテル守備陣との空中戦もジェコの圧勝だったと言っていい。
ポゼッションからプレッシングへ
ローマとインテルは同じ4-2-3-1を採用していたが、スパレッティ監督が戦略的に勝利できたのは中盤の選手たちに守備のタクスを振り分けたことだ。フロレンツィをメデルに、デ・ロッシをバネガに、ストロートマンをジョアン・マリオにぶつけて、自分たちの組み立てよりも相手の効果的なパス回しを分断することに主眼を置いた。
ストロートマンの密着マークによって存在感を発揮できなかったジョアン・マリオは、後半途中で交代に追い込まれている。ボール支配率では63%とインテルが上回っているものの、中盤をコントロールしていたのはローマだった。要警戒エリアをいかに埋めるのか。これはスパレッティ監督がトリノ戦の失敗から学んだことでもある。