リーグ開幕10試合で10ゴールを挙げ、得点ランキング1位を走るジェコ。10試合10ゴールはローマがスクデットを獲得したシーズンのバティストゥータと同じペースだ。94-95シーズン、22ゴールを挙げながらフィオレンティーナに在籍していたバティストゥータに得点王(26ゴール)を奪われた元ローマFWアベル・バルボに聞く。
―バルボ、ジェコがゴールを量産しています。昨季が悪かったのか今季が良いのか。どちらでしょう?
選手を評価する際には、その中間地点で考慮すべき。ここまでジェコのプレーを見る限りでは、その才能に疑いはありません。これはゴール数だけでなく、チームを勝利に導こうとするプレーも含めての話です。センターフォワードには点が取れるシーズンがあるものですが、今のジェコはチームを助ける動きもしています。
特にここ数試合はゴールを量産しており、センターフォワードとしての役目を果たしている。まずは自分が点を取ることで、チームを助ける。この観点から言えば今のジェコはバティストゥータと同じです。バティはエリア内で真価を発揮する選手だったのでタイプ的にはかなり違いますが、ジェコも格段に良くなってきています。
―特筆すべきジェコの才能は?
まずはポジショニングでしょう。ボールを受ける前に正しく動き、的確な位置取りをしている。そうすることで複数の決定機を作り出すことができる。さらにチーム全体が以前よりジェコを活かす戦いをしています。簡単なシュートミスがなければ17〜18点は取っているはず。改善点を挙げるならゴール前での貪欲さでしょう。
―特に際立っている要素は?
ひとつの能力が傑出しているのではなく、あらゆる能力を少しずつ兼ね備えている部分だと思います。高さで相手を上回る場面はありますが、抜群のジャンプを見せるというより長身を活かしているに過ぎない。逆に足下は器用で、高い技術を持っています。良いシュートも持っていますが、絶対的なストライカーが放つキックとは違う。
―ジェコを諦めなかったスパレッティの判断は正しかったと?
今のジェコはチームの中心です。監督から信頼されていると感じるようになれば、選手にとって大きな意味があります。チーム全体がジェコに点を取らせようと動いていますし、スパレッティが攻撃的なサッカーを志向しているのもプラス材料です。