90分間のパフォーマンスを比較すれば、ラツィオの勝利は妥当な結果である。ハートや誇りといったメンタル的な要素だけでなく、アイデアや技術的な部分でもローマを上回っていた。戦力的な限界値を越えるパフォーマンスを引き出したインザーギ監督にとっては、理想の試合展開だったといえる。
この試合に懸ける意欲という点で、ローマからはラツィオほどの熱量が感じられなかった。66%のボール支配率を記録したものの、効果的な攻撃を繰り出せないまま試合終了を迎えた。コッパ・イタリア決勝進出の可能性が消滅したわけではないが、2点のビハインドを背負った状態で2ndレグに臨むことになる以上、苦しい状況なのは間違いない。
それでも試合序盤のローマは決して悪いプレーをしていたわけではなかった。ナインゴラン、ジェコ、サラーの3人を警戒したラツィオは全体的に重心が低くなり、攻撃を繰り出せないまま中盤を支配され続ける。だがローマの攻撃にはリズムやスピードが足りず、いくつかのチャンスこそ作り出すものの先制点は奪えない。
試合展開が変わったのは前半20分が経過しようとした頃だ。ミリンコビッチ=サビッチが巧みな位置取りを見せ始め、その動きに対処できないローマ守備陣を脅かすようになる。10分間で3度の決定機を作り、そのうちの1つをミリンコビッチ=サビッチがゴールに結びつけた。それまで試合を優位に進めていたローマは、この展開に驚いたことだろう。
1点を奪われたローマはすかさず反撃を試みるが、遅い攻撃からは普段の勢いが見られない。後半に入っても攻撃のクオリティが上がらず、スパレッティ監督はペロッティを投入し、チーム全体の重心を上げる。だが途中出場ケイタのドリブル突破を許し、インモービレに2点目を献上。残り10分の時間帯でトッティを投入するがゴールは奪えなかった。