メルテンスの美しい2ゴールによってローマを倒したナポリ。一度は消滅しかけていた2位争いは再開したが、スクデット争いはローマが敗れたこの日で幕を閉じたと考えてもよさそうだ。ユベントスが今日の試合でウディネーゼを倒せば、ローマとの勝ち点差は10に広がる。ユーベの勝ち点獲得ペースを考えれば、この差を挽回するのは不可能だろう。
ここまでオリンピコで圧倒的な戦績を残していたローマだが、この短期間でEL、コッパ・イタリア、セリエAという3つのコンペティションで敗戦を喫している。ナポリの倍近い22本のシュートを放ち、ポストを叩いた場面も2度あった。このデータだけを見れば、内容と結果が釣り合わない試合となるが、ナポリ勝利という結果に不思議な要素はない。
スパレッティ監督はナポリの3トップを封じるべく、これまでの3バックを諦めて4バックを採用した。両SBにリュディガーとフアン・ジェズス、CBを本職とする2人を置いたことでサイドの攻撃力が低下。判断ミスに気づいたスパレッティ監督は、2点目を奪われた段階でファシオを下げてブルーノ・ペレスを投入し、3バックに戻している。
過密日程でコンディションが悪化
前半は両チームともにパス成功率が低く、どちらもパフォーマンスが上がらない。前半45分間の枠内シュートは1本ずつで、ナポリはその1本をゴールに結びつけた。後半開始直後にナポリが追加点を決める。この失点を招いたのはファシオの緩慢なプレーだ。不用意なパスでカウンターを浴び、シュートの場面でもメルテンスのマークを外した。
サラーを温存したスパレッティ監督の判断も裏目に出たが、週中のラツィオ戦でも見られたように今のローマはひどく疲弊している。信じられないパフォーマンスを発揮していたナインゴランが「通常の人間」に戻ってしまい、ナポリのカウンターに苦しむ展開が続いた。休息が1日少なかったとはいえ、それだけでは低調な中盤を説明できない。
ローマが試合終盤に盛り返せたのは、週中のラツィオと同じようにナポリが決定機を外し続けたおかげである。ストロートマンのゴールで1点を返したローマだが、レイナの奇跡的なセービングによって引き分けに持ち込むには至らなかった。唯一の救いは試合終盤の1点によって、勝ち点でナポリと並んだ場合、直接対決の差で上位扱いとなることだ。