インテルの新監督に就任したスパレッティが、クラブ上層部に対して最初に獲得を要求したのはボルハ・バレロだった。つまりスパレッティ監督の構想において、彼が最も重要なピースだった可能性が高い。ローマの指揮官を務めていた頃から高く評価しており、ユベントスに去ったピアニッチの代役として獲得も検討していた。
夏合宿が始まってからはガリアルディーニ、ベシーノ、コンドグビアなど、相棒を代えながら中盤の底でテストしていたスパレッティ。第2節ローマ戦ではトップ下で先発起用したが、インテルが試合の主導権を握るようになったのは、ジョアン・マリオを投入してボルハ・バレロを中盤の底に戻してからのことだ。
絶えず周囲からボールを集め、高い展開力で攻撃を組み立てるボルハ・バレロは、ここ数年のインテルに欠けていた選手である。おそらく三冠達成のチームで中盤を操っていたカンビアッソ以来だろう。チアゴ・モッタも主力として活躍していた当時のチームには、中盤のパス回しを円滑にできる選手が2人いたことになる。
それ以降の中盤はガルガーノ、ムディンガイ、メデルなどフィジカルに優れた選手が増え、チームとしての方向性も「可能な限り早く前線にボールを送る」というものになった。コヴァチッチやバネガ、エルナネスといった技巧派もいたが、望むべく結果は出なかった。ボルハ・バレロの加入によって、インテルの中盤は大きく変わろうとしている。