ミランの下部組織で育ち、2010年のコッパ・イタリアでトップチームデビューを果たしたシモーネ・ヴェルディは25歳になった。年齢的には、選手として上のレベルを目指せるかどうかの分岐点に立っている。才能を発揮できないまま複数のクラブを渡り歩いたヴェルディが現在の地位を築けたのは、ドナドーニ監督の功績である。
昨季ボローニャに加入したヴェルディは初めて主力としてセリエAを戦い、リーグ28試合で6ゴールを挙げた。複数のクラブが動向を追いかけ、イタリア代表のベントゥーラ監督からも注目される存在となった。
組織的な動きをこなしながら自分の特徴も出す。これはヴェルディの才能のひとつである。ナポリ戦では逆サイドのディ・フランチェスコと位置を入れ替えながら、ドナドーニ監督から託された守備の任務を忠実に果たした。左サイドではDFヒサイの攻撃参加を封じ、右サイドではインシーニェからスペースを奪い取った。
細かいステップからのドリブル突破でGKレイナを脅かすシュートを放ち、クロスバー直撃のFKも放った。左右両足で遠目からゴールを狙える特異な才能を持っている。試合終盤には1トップに入ったパラシオの背後でトップ下を務め、いくつかのチャンスを演出した。ゴールは奪えなかったが、チーム最高の採点に相応しい活躍だった。