第30節で首位争いを続ける強敵ミランを倒し、シーズン目標である勝ち点40を超えて残留の絶対安全圏に到達したパルマ。降格の心配がなくなったことで、残り8試合は年末まで夢見ていたヨーロッパリーグの出場権を目指すことになった。ライバルであるフィオレンティーナに引き分け、ナポリをアウエーで勝利し、ファンの期待はさらに高まった。
だが結果的にはここが限界だった。ナポリを下して勝ち点を46にのばしたパルマはフィオレンティーナと並んで8位に浮上したものの、翌週のジェノア戦にホームで惨敗。さらにボローニャ、ローマに屈して3連敗を喫し、欧州大会出場の夢は幻と消えた。残されたユベントス戦とリボルノ戦は、大きな意味を持たない消化試合となった。
昇格組であるパルマにとって、中位でのセリエA残留は大きな成功だといえる。だが5月1日のローマ戦後からクラブ上層部とグイドリンの関係悪化が、メディアを賑わせるようになった。2月に騒動が起きた時と同じようにグイドリン監督続投の声明を出したギラルディ会長だが、あの頃ほどの力強さは感じられなかった。
「私は2ヶ月前にグイドリンの続投を決めた。今でも退任を示唆する記事を新聞で目にするが、私の中では来季もパルマの監督はグイドリンだ。契約はあと1年残っている。セリエA昇格を果たし、降格の危機に晒されることなく残留を決めた監督を変えるなど、実に馬鹿げた判断だ」
監督交代は考えていないと話す一方で、「契約とは双方の合意があって初めて交わされるものだ。グイドリンが環境を変えたいと言うなら、我々も後任監督を探すことになる」ともコメントした。グイドリン本人も、「来季もパルマを指揮するつもりだ。この場所は仕事をするのに理想的な環境だから」と退任の意思がないことを公に認めていた。
両者の思惑が一致しない原因は、契約延長のタイミングにあった。グイドリンとの契約は来季終了後の2011年6月までだった。クラブ上層部は新シーズン開幕後のチーム状態を見てから判断を下そうと考えていたが、グイドリンは早い段階での契約延長を望んでいた。そうして新監督を探すウディネーゼが、グイドリンと接触したという噂が流れ始めた。