最終成績8位に終わった2014-2015シーズン終了後、インテル上層部はチーム大改造の必要性を痛感していた。新シーズンの目標であるCL出場権獲得のためには、競争力のあるグループが必要不可欠であり、そのためには部分的な修正ではなく、チーム全体を再構築しなければいけない。クラブ首脳陣とマンチーニ監督の意見はそれで一致していた。
前シーズン終了直後の2015年6月上旬、インテルはムリージョとビアビアニーの獲得を決めていた。トヒル会長をはじめとするクラブ上層部が計画した夏市場の予算は約6000万ユーロ。ディバラやヤヤ・トゥーレといった高額選手たちをリストアップしながら、チーム刷新に向けて動いていた。大型補強の必要性はマンチーニ監督も認めていた。
「残留する選手と新加入選手をミックスさせてチームを作りたい。インテルがこれ以上の醜態を晒すことは許されない。問題は、獲得を検討している選手たちがビッグクラブとの契約下にあり、どのクラブも放出の意思を示していないことだ。
自由に補強できるならトップクラスの選手たちを獲得するが、財政的な問題があるので簡単にはいかない。可能ならば8〜9人の新戦力が欲しい。マンチェスター・シティの監督に就任した時もそうだった。移籍加入に難色を示していた選手たちを説得しながら戦力を底上げし、最初の半年間で勝てるチームを作っていった」
獲得を目指していたヤヤ・トゥーレとナインゴランの加入は幻に終わったが、ミランとの争奪戦を制して、モナコに所属していたフランス人MFコンドグビアを獲得。ミランダ、フェリペ・メロといった高い守備力を誇るブラジル人選手の加入が決まり、ペリシッチやリャイッチ、ヨヴェティッチなど東欧系アタッカーの補強で前線も強化された。
コヴァチッチとエルナネス、技術力の高い2人のMFを売却して多額の移籍金収入を得たインテルは、その資金を市場に再投資することで主力選手の大幅な入れ替えに成功。昨季終盤から補強の必要性を強く訴えていたマンチーニ監督の要望を満たすため、技術部門の責任者を務めるアウシリオSDが夏市場で奔走した。
「『9人の新戦力が必要』というマンチーニの言葉を最初に聞いた時は、さすがに冗談だと思いました。その後の会議で本人と話して、どうやら本気だぞ、と。マンチーニの要望はすべてクリアできたと思います。選手の名前を見てもあらゆるポジションが強化されている。新加入選手が多いので、チームとして機能するまでには時間が必要でしょう」