ミラノダービーに勝利し、開幕3連勝でリーグ首位を走るインテルだが、このタイミングでクラブの内部構造に大きな変化が訪れた。ゼネラル・ディレクターを務めるマルコ・ファッソーネとの契約解消をトヒル会長が決断したのだ。
トヒルはインテルを買収して以来、モラッティ前会長と強い強がりを持っていたクラブ幹部たちを次々にクラブから〝追放〟していた。その結果、インテル内部は代表取締役であるボーリングブーロクをはじめとする外国人幹部と、ファッソーネGDやアウシリオSDを中心とするイタリア人幹部が対立する状況が生まれていた。
外国人とイタリア人、どちらの勢力がより大きな権限を得ているのかは、ファッソーネ退任という結果を見れば明らかである。ファッソーネは2012年からインテルで仕事をしているが、ボーリングブーロクをインテルに呼び寄せたのはトヒル会長自身だ。現場の全権を託す人物として、ボーリングブーロクが選ばれるのは当然の流れだった。
従来のやり方を続けるイタリア人幹部勢力と、新しい概念をクラブに持ち込んだ外国人幹部勢力の関係は修復不可能なところまで悪化。クラブのトップとして決断を迫られたトヒル会長は、自らの流儀に近い外国人勢力を後押しすることになった。ミラン戦から5日後の9月18日、インテルはクラブの公式サイトでファッソーネの退任を発表した。
退任発表のリリースには、「今年の夏市場でチーム戦力の向上に成功。開幕3試合で勝ち点9、セリエA首位という結果を導き出した」と、ファッソーネの功績が記載されていたが、その裏側には彼の失策が隠されている。大型補強で戦力アップには成功したものの、課題とされていた余剰人員の整理には失敗。選手の総年俸も数年ぶりに増加した。
UEFAからFFPに関する警告を受けているにもかかわらず、財政状況を悪化させるばかりのファッソーネはゼネラル・ディレクターとして不適格だと外国人幹部勢に判断された。責任を追求される形でファッソーネはクラブを去り、これ以降のインテルは技術部門を除くあらゆるセクションをボーリングブーロクCEOが指揮することになる。