クリスマス休暇明けのエンポリ戦に勝利したインテルだが、その後の3試合は1敗2分け。サッスオーロ、アタランタ、カルピという格下相手から1勝もできず、奪ったゴールも2つだけという苦しい年明けスタートとなった。中盤の補強を否定していたマンチーニ監督の言葉通り、インテルが冬市場で獲得したのはサンプドリアFWエデルだった。
1月31日のミラン戦の前日会見でマンチーニ監督は、チーム状態の悪さを認めつつ悲観すべきものではないという趣旨のコメントをした。「自分たちの立場は理解している。一体感を失うことなく、慌てずに順位を上げていかないといけない。長いシーズンには状態を落とす時期が必ずあり、まさに今の私たちはそういう時期にあるということだ」
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3試合勝利なしという状況で迎えたミラノダービーで、マンチーニはこれまでのようなフィジカル重視の選手起用を諦めた。メロとコンドグビアを先発から外し、リャイッチ、ペリシッチ、メデル、ブロゾビッチという敏捷性に優れた中盤を選んだ。前線には2日前に加入したばかりのエデルを配置し、イカルディはベンチスタートになった。
爆発的なダッシュを見せるエデルが試合序盤からサンシーロを沸かせる。サントン、ペリシッチの右サイドに加えて、エデルがライン際に出ることで数的優位を作り出してチャンスを広げていく。対するミランは本田、アバーテ、クツカの右サイドが巧みに連携し、守備意識の低いリャイッチの背後を狙ってフアン・ジェズスを苦しめていく。
本田のクロスボールからDFアレックスのヘディングシュートが決まり、ミランが先制するとマンチーニ監督が怒りを爆発させる。集中力の欠如が招いた結果の失点であり、十分に回避できるものだった、と選手たちの動きに納得していない。戦術を変えてサイドに流れがちだったエデルをゴール前で勝負させるが、同点弾は生まれず前半を終えた。
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後半開始直後にイカルディがウォーミングアップを始めると、観客席から大きな拍手が巻き起こった。ゴール手前でクロスに合わせる選手がいないことに不満を感じていたファンたちがイカルディの登場を望んでいる。だが後半4分の事件で試合の流れは大きく変わっていく。
クリアボールの処理を誤ったGKドンナルンマとエデルが激突。主審はファールを取らず、激しく抗議するマンチーニ監督を退席処分にした。後半20分を前に投入されたイカルディはすかさず決定機を作るものの、シュートはドンナルンマに弾かれ、直後のPKもポストを叩いてインテルは1点ビハインドの状態から抜け出せない。
気落ちするインテル陣営にとどめを刺すように、ミランが追加点を挙げる。右サイドでフリーとなったニアンのクロスにバッカが合わせて2点目。後半30分過ぎにはDFサントンのミスからニアンが3点目を奪って試合を決めた。3失点とイカルディの不発、マンチーニ監督の退席も合わせてインテルには屈辱的なダービー敗戦となった。