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長靴をはいた栗鼠

イタリアのスポーツ紙「コリエレ・デッロ・スポルト」などに掲載された記事を翻訳します。日本での知名度がイマイチなクラブを頑張って盛り上げる係。

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【第1回】シーズン開幕前に起きた混乱

2017年12月29日 インテル2016-2017

すべての発端は、2016年6月にトヒル会長がクラブの株式を中国・蘇寧電器グループに売却したことだ。トヒルのプロジェクトを支持し、財政的な問題を解決するため主力の売却も容認していたマンチーニ監督。一切の相談をされることなくクラブ売却に踏み切ったトヒルの判断を「裏切り行為」と見なし、両者の関係は急速に冷え込んでいった。

クラブ幹部との橋渡し役を務めていたファッソーネGDは、ボーリングブロークCEOとの派閥争いに敗れる形で昨年9月にインテルを去った。昨季後半戦の失速を理由に、クラブ内部にはマンチーニの手腕を疑問視する人間たちも増えていた。トヒルが蘇寧グループの判断を支持する側に回ったことで、マンチーニは孤立無援の状態となった。

リーグ開幕に向けて7月上旬に再始動したインテルだが、指揮官とクラブ側の対立関係は続いていた。シーズン最初の記者会見に臨んだ指揮官は、慎重に言葉を選んでいるようで、その実際は歯切れの悪いコメントを繰り返すばかり。無用な発言でクラブ上層部を刺激しないよう努める姿は、普段のマンチーニを知る記者たちには奇妙に映った。

× × ×

マンチーニとクラブ側の関係を悪化させていた原因は、補強方針の違いにあった。CL出場権獲得のためにヤヤ・トゥーレやサバレタ、カンドレーヴァなど即戦力の補強を要求していた指揮官に対し、クラブ側は将来を見据えたチーム作りを考えていた。年齢や高額な獲得費用を理由に、ヤヤ・トゥーレの補強案は真っ先に却下されることになった。

イグアインやピアニッチといった有力選手を獲得したユベントスは言うに及ばず、主力を引き抜かれた側のナポリ、ローマとの戦力差すら埋まっていないというのがマンチーニの分析だった。しかしクラブ側はアンサルディ、バネガ、エルキンの補強で戦力差は解消できていると判断した。これだけの補強でマンチーニが納得するわけがない。

この3人の補強はマンチーニの要望ではなく、移籍金を必要とせずに獲得できるというだけの理由でクラブ側が進めた補強案でしかなかった。即戦力を要求する指揮官と、多額の移籍金を生じる補強を拒み続けるクラブ上層部。アメリカ遠征中もインテルを取り巻く環境は変わらず、メディアは連日のように両者の対立を報じることになった。

× × ×

7月下旬にはトヒル会長とボーリングブロークCEOがマンチーニと会談する。だがトヒルはインテルの財布を握っているわけではなく、蘇寧グループから会長職を任されているだけでしかない。「補強はクラブ主導で進める。新シーズンの出来で契約延長も考える」と中国側の回答を伝えるだけのトヒルに、マンチーニが譲歩するはずがなかった。

アメリカツアーでの成績は目を覆いたくなるほどに悲惨なもので、一刻も早く事態を収拾したい蘇寧グループはアウシリオSDを仲介役に任命した。しかし「カンドレーヴァの獲得交渉は進んでいる」というアウシリオの言葉にもマンチーニは納得しなかった。翌年6月に切れる契約の延長をクラブ側が拒み続けていたからだ。

契約延長に否定的な回答を寄越すばかりで、要求した戦力補強も拒まれたマンチーニ。新シーズン終了後にはアトレティコ・マドリーのシメオネを新監督として招へいするという噂も流れ始めた。あらゆる要素からシメオネが来るまでの〝繋ぎ監督〟という屈辱的な立場すら見えてきた状況に、指揮官は不満を募らせるばかりだった。

蘇寧グループの倹約思考も不満の種となっていたが、マンチーニが大きな不信感を抱いていたのが代理人キア・ジョーラブシャンの影だった。マンチェスター・シティで監督を務めていた頃、テベスの代理人だったキアと対立した過去があり、蘇寧グループの顧問としてインテルの補強方針にも影響を及ぼす彼は、腹立たしい存在でしかなかった。

× × ×

指揮官とクラブ上層部の対立が取り沙汰される状況で、選手たちが落ち着いて調整できるはずもなかった。テストマッチでも不安定な姿を露呈し続け、PSG、バイエルン、トッテナムとの3試合で13失点を喫する始末。「合宿開始から質の高いトレーニングができていない」と、選手から不満の声が上がるほどチーム内部は壊滅的な状況だった。

新シーズン開幕を2週間後に控えた8月上旬、マンチーニとの関係修復を諦めたクラブ上層部は、ついに指揮官と別の道を歩むことを決める。トッテナム戦の6失点大敗をきっかけにクラブ内部の反マンチーニ派が勢いをつけ、蘇寧グループも問題を解決するには監督交代という選択しかないと判断した。

契約解除の書面にサインしたマンチーニはその翌日、傷ついた心を癒やすようにミラノを離れてバカンスへ旅立った。クラブスタッフに挨拶をし、数日間連絡を絶っていたトヒル会長にも別れの言葉を伝えたが、この状況を引き起こした原因がトヒルにあるとマンチーニは考えており、冷えきった両者の関係は最後まで改善しなかった。

繋ぎ監督としてレオナルドの招へいも噂される中、インテル上層部が新シーズンを託すべく呼び寄せたのがオランダ人指揮官、フランク・デ・ブールだった。

はじまり
インテル2016-2017一覧
【第2回】→
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