直接対決に敗れたことで2位ローマとの勝ち点差は11に広がった。年末から怒涛の勢いで順位を上げてきたインテルだが、上位勢も安定したペースで白星を積み重ねており、ここからの挽回は困難である、というのがメディアの論調だった。今後はラツィオやアタランタとEL出場権を争いながら、ナポリの足踏みを待って3位を狙うことになる。
3月に入ったこの頃から、来季のチーム編成に関する記事が目立つようになった。数ヶ月後の夏市場でインテルはどう変化するのか、様々な選手の名前が紙面を飾ってファンたちの期待を煽った。
当然のようにピオリ監督の周辺も騒がしくなっていた。インテル上層部が来季の監督探しを始めたという噂が流れていたからだ。『チェルシーのコンテ、アトレチコ・マドリーのシメオネが候補だ』と、連日のようにメディアは騒ぎ立てた。ローマ戦から一週間後、カリアリ戦の前日会見ではピオリにも新監督についての質問が飛んだ。
「そういった話に影響されることはない。噂を流しているのはあなた方メディアなのだから。自分たちで話を作って、私にコメントまで求めるのだから大したものだ。
私たちの目標は3位に入ることだ。ローマ戦に関して言えば、ああいった試合展開は望んでいなかった。それでも試合に負けたのであって、戦争に負けたわけではない。ユベントスやローマ、ナポリとの実力差は確かに存在する。数年前から同じチームで戦っている彼らに対して、インテルはプロジェクトの開始が遅かった。
決定機の数だけならインテルはローマ、ナポリに次いでリーグ3位。だが決定力となると最下位に近い。つまりゴール前での正確さ、貪欲さに欠けている。動きの質にも問題がある」
ピオリ本人が決定力不足を課題に挙げていただけに、ローマ戦後2試合のインパクトは強烈だった。カリアリ戦では5ゴールを挙げて大勝。その翌週には、EL出場権争いのライバルでもあるアタランタから7ゴールを奪う圧倒的な強さを見せつけた。残り10試合で3位ナポリとは勝ち点6差。シーズン最終盤の逆転も不可能ではないと思われた。