シーズン終了直後にデル・ネーリの監督就任が発表され、サンプドリアは新シーズンに向けたチーム作りを順調にスタートさせたように見えた。だが6月3日の監督就任会見の翌日からクラブ周辺が一気に騒がしくなる。ゼネラルディレクターを務めるマロッタがユベントスの幹部と接触したことで、サンプを去るのではないかと報じられた。
マロッタがサンプドリアにやって来たのは2002年。クラブを買収したリカルド・ガッローネ会長からゼネラルディレクターの仕事を託され、2004年からは代表取締役も兼任するようになった。現場への介入を避けるガッローネに代わり、マロッタは全権を託された「事実上の会長」だった。
ユベントスがマロッタに接触したのは今回が初めてではなかった。カルチョポリによってセリエB降格処分を受けた2006年にも招へいに動いていた。だがマロッタの回答はNOだった。あれから3年、再びユベントスが本腰を入れて招へいに動き出した。
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最終成績2位で前シーズンを終えたものの、リーグ2試合を残してラニエリ監督を解任するなどクラブ内部の混乱が表面化していたユベントス。コボッリ・ジッリ会長、ジャン・クロード・ブラン代表取締役を中心にカルチョポリからの復活を目指していたが、クラブに対するファンたちの印象は決して良いものではなかった。
強固なクラブ組織を作るために経験豊富な幹部を必要としていたユーベは、サンプドリアを再建したマロッタに白羽の矢を立てた。3年前とは違い、セリエAに復帰したユベントスからの誘いは断れないだろう、というのがメディアの見方だった。だがガッローネ会長と直接会談に臨んだマロッタは、周囲の予想に反して残留を表明する。
「クラブ幹部としてヴァレーゼで仕事を始めたのは19歳だった。当然ながら、いつかは世界的なビッグクラブで仕事をするのが夢だった。ユベントスはその夢を叶えられるクラブである。オファーを受けて本当に嬉しかった。イタリアで最も多くのタイトルを獲得したクラブに高く評価された喜びを隠すことはできない。
だが今の段階で環境を変えるという結論には至らなかった。人生においてキャリアとは重要なものだ。あれだけのクラブから声をかけられ、2度とも拒否するのは愚かな判断かもしれない。しかし大切なことは他にもある。
この数日間、知り合いから沢山のメールをいただいた。ユベントスで仕事をしてほしいというメッセージもあったが、多くはサンプに残ってほしいというものだった。この出来事はこれから先も忘れられないだろう」
クラブの大黒柱であるマロッタの留任が決まり、サンプドリアはチーム作りを本格化させていく。