代表ウィーク明けのキエーボ戦に勝利し、3試合白星から遠ざかっていたサンプドリアは待望の勝ち点3を手にした。開幕序盤の勢いが見られなくなり、ファンの苛立ちが高まりつつあったところでの勝利。翌週に控える第14節ジェノアとのダービーマッチに向け、落ち着いて調整できる環境となった。
開幕直後のようなペースで勝ち点を加算できなくなった原因のひとつに、審判の判断ミスが挙げられる。パルマ戦でもラツィオ戦でもエリア内でのファールを見逃され、サンプ上層部はメディアを通して不満を漏らしていた。ジェノア戦の数日前、マロッタGDは審判団についてもコメントした。
「審判にとってもダービーが難しい試合なのは承知している。だからこそ判断力に優れた主審が必要となる。技術や戦術より、審判の技量が試合展開に影響を及ぼすことも少なくない」
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両チームの選手がピッチに姿を見せると、用意された花火が一斉に打ち上げられた。爆発音がルイジ・フェラリスに響き、観客席では発煙筒が炊かれる。試合開始予定時刻になっても、ピッチ上の視界が回復しないことでロゼッティ主審はキックオフの笛を数十秒遅らせることになった。
試合開始直後からサンプドリアは高い最終ラインの裏をジェノアに狙われ続ける。デル・ネーリ監督は両サイドバックに対して、裏への走り込みを警戒するよう指示を出した。だが指揮官の懸念は最悪の形となってピッチ上に現れた。
背後を取られたDFツィークラーがFWパラシオを後ろから倒してジェノアにPK。サンプドリアは前半10分から1点を追いかける展開を強いられる。同点を目指すサンプはカッサーノにボールを集めるが、ジェノア守備陣の厳しいマークにチャンスの芽を潰される。
ファール覚悟の守備を見せるジェノアに、カッサーノが次第に苛立つようになる。幾度となくピッチに倒されて、「こんな状態ではプレーなどできない!」と叫び、ロゼッティ主審がファールを取らずにプレーを逃すとソックスをまくって怒りのアピールをする。
攻撃が思うように流れないサンプとは対照的に、ジェノアは鋭いカウンターから決定機を作り出していく。追加点こそ生まれなかったが、ポストとクロスバー直撃のシーンがあった。だが前半終了間際にDFビアーヴァが2枚目の警告を受けて10人となった。ジェノアはFWパラシオを下げ、DFパパスタソプーロスを投入して3-4-2に切り替えた。
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数的優位となったサンプが後半開始から中盤を支配するが、ジェノアの鋭いカウンターを浴び続ける展開が続く。最初のピンチはGKカステラッツィの奇跡的なセーブで切り抜けたが、後半10分にラインの裏を取られて1人少ないジェノアに追加点を許した。
2点目を奪われた段階でデル・ネーリ監督は戦術変更を決意した。中盤の4人をワイド型に配置する戦いを諦め、カッサーノをトップ下に置く4-3-1-2でエリア中央の密度を高めた。しかしボールを保持することはできるが、効果的な攻撃には繋がらない。4-4-1で重心を低くしたジェノアを攻略できず、ファールでカウンターを止めたことで退場者を出した。
サンプが10人になったことでジェノアのガスペリーニ監督が再び戦術を変える。3-4-2でサンプの左サイドを狙い続けた結果、DFツィークラーのファールを誘発して2本目のPKを獲得。3失点目を喫したサンプは試合終盤に再び退場者を出して9人となり、主審はロスタイムを取らずに試合終了の笛を吹いた。