ユベントスがオリンピコで苦戦の末にラツィオを下した数時間後、ナポリはローマに4失点の大敗を喫した。試合後にナポリのサッリ監督は、「スクデットを争っているクラブはユベントスしかいない。彼らは別の惑星から来た存在だ」と、優勝争いからの脱落を思わせるコメントを残した。だがサッリの〝白旗宣言〟には同意しかねる。
「別の惑星から来た」と言っているが、技術面で言えばナポリの方が上だろう。ユベントスが火星なら、ナポリは冥王星から来たようなレベルだ。欧州でも最高クラスに位置するナポリの洗練されたサッカーは、ユベントスにさえ真似できないものだ。シーズンを通して見ても、サッカーの質という点においてナポリが上回っているのは明らかだ。
選手層や資金面など、クラブとしての組織力はユベントスに分がある。主力を務められるレベルのメンバーが控えにもいるユーベに対して、ナポリは12〜13人程度の主力選手がクオリティを維持しているのが現状だ。グラムの負傷離脱は確かに大きな痛手だが、長期離脱していたFWミリクの復帰はシーズン終盤戦に向けて心強いニュースだろう。
なによりナポリは今でも首位にいる。暫定的な順位ではあるが、それでも首位を維持しているのは事実だ。アウエーではあるがユベントスとの直接対決も残っている。ローマ戦のような脆さを見せなければ、ユベントスに対抗する力はあるはずだ。未消化のアタランタ戦を終えてユーベに首位の座を奪われても、4月の直接対決で挽回するチャンスはある。
あらゆる要素を検討しても、この時点でナポリがスクデットを諦める必要などない。確かにユベントスにはイタリア王者としての強さと歴史がある。だがナポリが夢を諦める理由にはならない。ローマに大敗した直後でも声援を送り続けた、4万人のファンの情熱に背くのは間違いだろう。