予選敗退となったことで、多くのイタリア人にとって今回のW杯は他国の代表チームが戦うだけの大会となった。もっとも、世界の祭典に参加できないことがプラスに働くこともある。利己的な考え方かもしれないが、クラブ関係者にしてみれば選手がW杯に参加せずバカンスを楽しんでくれた方が都合がいい。少なくともローマ上層部はそうだろう。
W杯に参加するローマの選手はわずか3人である。ブラジル代表アリソン、アルゼンチン代表ファシオ、そしてセルビア代表のコラロフだ。3人とも今季のローマで絶対的な主力として活躍した。彼ら以外の選手たちはW杯開催中に身体を休め、7月上旬の集合日に合流できるというわけだ。
代表チームが大会を勝ち進むほどに、選手がクラブに戻ってくるのは遅くなる。短いバカンスを終えてチームに合流する頃には、シーズン開幕が目の前に迫っている。主力の半数近くがW杯に参加する他クラブと比べると、傍観者の感が強いローマは来季開幕に向けた調整という点で大きなアドバンテージとなる。