これまでにウイング、サイドバック、ウイングバックの動きについて説明してきました。最後のテーマは4-4-2や4-2-3-1におけるサイドハーフの役割です。2005-2006シーズン、ファビオ・カペッロが率いたユベントスをモデルに話を進めようと思います。
当時のユーベは中盤をフラットにした4-4-2を敷いていました。最終ラインは右からゼビナ、テュラム、カンナバーロ、そして私です。中盤のセンターにはエメルソンとヴィエラがいました。右サイドはカモラネージ、左サイドはネドベドです。2トップはトレゼゲとイブラヒモビッチでした。
なぜ急にメンバーの名前を出したのか。それは本人やチームメイトのプレースタイルによってサイドハーフの仕事が大きく異なるからです。例えばカモラネージは、サイドから素早いドリブルで敵陣深くを狙ってクロスを上げるプレーを得意としていました。彼の後ろにはゼビナ(ペッソット)が構えていて、常に背後のスペースをカバーしていたのです。
ネドベドはタイプが異なる選手です。ライン際でボールを受けたらゴールに向かってドリブル突破を試み、そのままシュートを打ちます。ネドベドが内側に切り込んでスペースを空けてくれるからこそ、左サイドバックの私はライン際を駆け上がってクロスを上げることができるのです。それぞれが得意とする動きを効果的に組み合わせた戦術ですね。
サイドアタッカーの特徴
一般的に4-4-2や4-2-3-1でサイドアタッカーを務めるのは、スピード豊かで1対1に強い選手です。一昔前はフィジカルに優れて、運動量のある選手が起用されていましたが、現代では技術の高い選手が選ばれる傾向にあります。キックの精度が高く、エリアの外からゴールを狙える選手です。利き足と逆のサイドで起用されることも珍しくありません。
4-2-3-1のサイドプレイヤーは、3人の選手と呼吸を合わせないといけない。センターフォワード、トップ下、サイドバックです。特にトップ下のプレースタイルは、サイドアタッカーの動きに大きく影響します。トップ下の選手が裏に抜けるタイプなのか、2ラインの間でボールを受けてラストパスを狙うタイプなのかは重要なことなのです。
センターフォワードの選手はその性質上、相手を背負った状態でボールをキープすることも、ラインの裏に抜けてゴール前で勝負することも得意です。しかしトップ下の選手はプレースタイル次第で、どちらかを得意とする場合が多い。内側に切り込んだサイドアタッカーがコンビを組む相手は、トップ下の特徴によって変わってくるということです。