CL出場権を獲得した5月20日のラツィオ戦を再現したような試合だった。あの日もインテルは先制点を奪われ、敗色濃厚の雰囲気に包まれた。運動量だけでなく、リズムもアイデアも相手の方が上回っていたが、イカルディとベシーノのゴールで逆転勝利。この展開はまさにラツィオとの直接対決を制した数ヶ月前のオリンピコと同じである。
サンシーロの圧倒的な声援に背中を押されたインテルだが、トッテナムとの実力差は覆しようがない。試合序盤からボールを支配され、小気味良いテンポで攻撃を続けるトッテナムに苦しむ時間帯が続いた。4-2-3-1の先発布陣を組んだインテルだが、相手の圧力に押されるように4-4-2の守備陣形で自陣に押し込まれることになった。
決して美しい前半ではなかったが、久しぶりに帰ってきたCLの舞台にインテルのファンたちは退屈しなかっただろう。それでもハンダノビッチの好セーブに救われながら1点を追いかける展開を強いられた。だが後半40分にイカルディが美しいボレーシュートを決めると、重苦しい雰囲気は一気に払拭され、サンシーロが熱狂に包まれる。
今季のインテルは先制点を奪われてからバランスを崩すことが多かったが、イカルディの同点弾をきっかけに猛烈な攻撃を開始する。そうして試合終盤にセットプレーからベシーノが決勝点を決めて、数分間で試合をひっくり返してしまった。サンシーロで久しく勝てていなかったチームが、重要な試合でそのタブーを打ち破ったのである。
中盤のボール回しに流動性が足りないという課題は依然として残っているものの、開幕から不発続きだったイカルディにゴールが戻ってきたのは朗報である。「トッテナム戦で風向きを変えたい」と前日会見で話していたスパレッティ監督の言葉通り、この逆転勝利は思うように結果が出ず自信を失いかけていたインテルに変化をもたらすかもしれない。