信じがたい試合展開で、インテルは新シーズンの幕開けを白星で飾った。後半43分までフィオレンティーナにリードを許しながら、わずか90秒間で2つのゴールを叩き込んで勝ち点3を手にした。サンシーロでの観戦を許可された1000人のファンたちは、見事な逆転勝利に喝采を浴びせた。
フィオレンティーナのイアキーニ監督にとっては悔やまれる結果である。前半3分に先制点を挙げると、その後は中盤をインテルに明け渡しながらも(前半のボール支配率35%)、守備一辺倒の戦い方はせずに、リベリやボナヴェントゥーラの推進力を生かした攻撃を繰り出した。
苦しむインテル
3-5-2を基本布陣としながら、攻撃の場面では4-3-2-1に変化するフィオレンティーナに対し、インテルは効果的な守備を見いだせずに苦しんでいた。
トップ下に入ったエリクセンは、組み立ての場面で中盤の低い位置まで下がっていたが、スペースを埋めるべき局面ではポジションを見失っているようだった。フィオレンティーナの鋭いカウンターを浴びるたびに、インテルは失点の危険に怯える羽目になった。
インテルにとって幸運だったのは、前半終了間際にマルティネスのゴールで同点に追いついたことだ。精神的に楽な状態で後半開始を迎えることができた。
決定機をいくつも作りながら追加点を奪うことができなかったフィオレンティーナは、後半立ち上がりにオウンゴールでインテルに逆転を許す。だがショックを受けるどころか、ここから猛烈な反発力を見せる。後半12分、18分の連続ゴールで再びリードを奪った。
決定的な仕事を続けるリベリの高い技術を褒めるところだが、スペースを潰しきれないインテルの守備にも大きな問題がある。ボールを持たない局面での不安定な振る舞いは、昨季終盤から続く課題だ。
交代カードの差
再びリードを奪い、勝利に向かって突き進むフィオレンティーナだが、試合を決める4点目が奪えない。イアキーニは選手交代に踏み切るが、新たな活力は生まれなかった。
逆にインテルには交代のカードが揃っていた。センシ、サンチェス、ナインゴラン、ビダル、ハキミ……。ユベントス以外のチームならば、誰もがスタメン起用されるであろう選手たちが投入されると、試合の展開が大きく変わる。
特に輝いたのはセンシだ。エリクセンには見られなかった質の高いプレーを連発していく。ハミキとサンチェスは、それぞれルカクとダンブロージオのゴールをアシストした。時間の経過とともに重心を下げるばかりのフィオレンティーナにとって、インテルの“リザーブ”はあまりにも強力だった。